5年ぶりのメジャーバージョンアップ
ランサ・ジャパンは2025年10月、基幹システム向けのローコード開発環境「LANSA」の最新バージョン「Visual LANSA V16」を発表。10月24日から提供を開始した。
併せて、「LANSA Production License」「LANSA for the Web」「LANSA/AD」「LANSA Integrator」「LANSA Open」もアップデートされ、すべて「V16」となった。
マイナーバージョンアップはUXやセキュリティ、AIなど、テクノロジーやニーズの変化に基づいて細かくアップデートしてきたものの、メジャーバージョンアップは前回のV15以来、5年ぶりのリリースとなる。
同バージョンでは、クラウド環境への最適化や開発UXの向上、ブラウザ埋め込み機能など、アプリケーションのモダナイズを実現する新機能を搭載している。
また、「LANSA AI」によるAIサポート機能により、開発者はよりスピーディかつ直感的に最新のLANSA環境を活用できるようになる。
Web連携からセキュリティ、AIまで
幅広い機能強化を実施
LANSA V16の主な新機能は、以下のとおりである。
Web連携の強化
WebView2 による最新ブラウザ統合で
モダンなUI/UXを実現
Chromium (Googleが主導するオープンソースのWebブラウザ開発プロジェクト)ベースの「WebView2」ブラウザエンジンを統合した。これにより、Windows アプリケーション内にEdgeブラウザを埋め込むことができ、最新のHTML5・CSS を活用したモダンなUIを実現できる。
また、サードパーティ・ライブラリーやREST API連携が容易になり、開発者はより柔軟に機能を拡張できる。
既存のLANSAアプリケーションを維持しながら、Web技術を活かしたリッチなユーザー体験を構築できる。
リアルタイム・プッシュ通知で
サーバーとクライアントをシームレス接続
サーバーからクライアントへのプッシュ通知機能が標準で利用可能になる。暗号化されたリアルタイム通信により、Webアプリケーションや業務システム内での情報共有をスムーズに実行できる。
また複数のシステム、言語、テクノロジーを統合し、異なるプラットフォーム間のデータ管理やカスタム暗号化に伴う複雑な処理を軽減する。
クラウドの強化
Azure Cloud 対応ライセンスで
クラウド展開を最適化
新たに「Azure Cloudライセンス」が導入され、クラウドベースのライセンス運用が可能になった。従来のオンプレミス環境に加え、Azure上でのスケーラブルなアプリケーション配布や運用が実現し、クラウド移行・統合の効率化を支援する。これにより、ハイブリッド環境下でも柔軟かつ安定した開発・運用が行える。
セキュリティの強化
OAuth 2.0 による電子メール認証で
セキュリティを強化
SMTP/POP3/IMAPに対応した OAuth 2.0 ベースのメール認証が導入された。これにより、従来のパスワード認証よりも高いセキュリティレベルを実現し、クラウドメールサービスとの安全な連携が可能となる。
またデータ保護とアクセス制御が強化されたので、企業環境での運用リスクを低減する。
IBM i パスワードポリシー対応で
エンタープライズ環境を支援
IBM i環境におけるパスワードポリシー(QPWDRULES)への対応により、セキュリティ標準との整合性が向上した。企業システムの認証ポリシーとLANSA環境を統一でき、IBM i の最新環境での安定稼働を保証する。
UXの強化
ツールバー・アイコンの刷新
ビジュアル・アップデートの第1段階として、アプリケーションのインターフェースがモダナイズされた(図表1)。

このアイコンの刷新により、モダンでユーザー・フレンドリーなデザインが実現された。
生成AIとの連携
LANSA AI チャットボットで
生産性向上
LANSA製品関連ドキュメントを学習したAIチャットボット「LANSA AI(ベータ版)」が一般公開された。開発者やユーザーは、LANSAのWebサポートページから24時間いつでも質問でき、ドキュメント検索に代わる迅速なサポートを受けられる。
このAIは日本語を含む多言語に対応しており、LANSA製品の構造やAPI仕様を理解して回答するよう設計されている。また、ユーザーのフィードバックに基づき継続的に進化していくことで、グローバル開発チームのナレッジシェアを支援する。
同バージョンではこのほかにも、統合開発環境(IDE)、ランタイム、Web環境全体において80件を超える修正・改善が行われている。
[i Magazine 2025 Winter掲載]







